ブッチとは


ブッチ・ペット・フーズ社(以下、ブッチ社)は、環境規制が世界一厳しいニュージーランドにおいて、精肉とほぼ同等の水分含有量を保持する消化吸収性に優れた健康的なペットフードであるミートフード(現地では、roll foodというカテゴリー)界のパイオニアです。1964年の正式発売後、その優秀性が認められ、現在では毎週10万個以上のミートフードを製造しており、ニュージーランドにおけるミートペットフード界最大のシェアを誇るリーダーとなっています。同国でミートフードは、ドライフードと同等のシェアがあるほどポピュラーなペットフードです。

ブッチ本社

ブッチ本社


環境規制が世界一厳しいというのは、たとえば牛や羊といった家畜類、そして鶏などの家禽類等の場合においては、本来、自然に食している食物を給与し、成長に負担のかからない、かぎりなく自然に近い状態で肥育されることを意味しています。したがって、牛や羊は牧草のみで肥育され、鶏も屋内のケージ設備等は用意されていても、放飼いにされる時間が設けられていて、より健康的な環境下で成長します。無農薬、低農薬は当たり前。牧草地は、完全な無農薬状態です。口蹄疫や鳥インフルエンザも、厳しい検疫態勢によって過去160年ほどあいだ、発生していません。日本から北海道を除いた広さの国土に対し、日本の約1/4の人口という、市街地と自然のバランスのとれたニュージーランドは、長い努力の末、ごく普通にある自然なものが安全な食品であるという理想的な農業立国をはたしています。

そんなニュージーランドで、イアンとロレインのロビー夫妻が最初のミートフードを造り出したのは、半世紀ほど前、同国最大の都市であるオークランドから離れたルアワイにいた頃でした。精肉業を営んでいたイアンは、食餌に生肉を与えられている犬たちの多くが病気や体調不良に悩まされていることを知りました。そして、色々と研究していく中で、その原因が生肉にとりつくある種のバクテリア等が原因であることを突き止めました。犬にとって肉は、消化吸収にもっとも負担のかからない食物です。人間にとっては大変危険な食中毒の原因菌をものともしない消化力があるにもかかわらず、それでも健康に悪影響を及ぼすものがあったのです。そこで、イアンは、加熱調理してはあるものの、生肉と同じ水分と栄養分をもつ、より安全で健康的なコンセプトのフードを造り出したのです。
イアンとロレイン

イアンとロレイン

設立当時、提携先だったワイララパにあった精肉店

設立当時、提携先だったワイララパにあった精肉店



ニュージーランドのスーパーにて

当初、イアンは毎週金曜日になると、ルアワイから離れたオークランド市で開催される小さな市場へと出かけ、農家や肉屋に自身の開発した製品を販売していました。これは1964年の正式発売がされる以前の頃で、週300個ほどの売り上げしかなく、それだけの数では生活していくのは大変でした。しかし、製品は羊農家や牧羊犬の専門家たちからの評価を得て、販売量は確実に増えていきました。しかし、ある金曜日の市場で販売を行い、オークランドから2時間以上かかる自宅兼工場に戻ったイアンと家族は、工場で火事が起こり、炎に包まれている光景を目の当たりにします。

工場の設備や在庫の材料を含め、そのすべてを焼き付くした原因は漏電でした。火災保険はかけられていなかったため、ロビー家は、その日に全財産のほとんどすべてを失ってしまったのです。そこでイアンとロレインは、心機一転オークランドへと移り住むことを決め、3人の子供たちと共にすべてを一からやり直し、ブッチ社を今日ある姿にまでに育てあげたのです。それができたのも、犬の健康が仕事に直結している羊農家たちからの絶大なる信頼があったからです。その後もイアンは、製品の品質向上につとめ、ブッチ社ならではの調理法を開発し、今日まで至っています。ちなみに、ニュージーランドでは、人口の10倍以上もの羊がいるのです。最近では4輪バイクも使用されているようですが、羊の群れを追うのに牧羊犬たちは、いまも欠かせない存在です。


すべてのブッチ・ブランドの製品は、環境規制と検疫態勢が世界一厳しいニュージーランド産の新鮮な牛肉、ラム、チキン、魚、そしてわずかなシリアル類等を原料とし、科学的なアプローチによっ て完璧なバランスに調整されたビタミン、ミネラル類がブレンドされた、みなさんの愛犬、そして愛猫のための総合栄養食として製造されています。pHバランスにも配慮されているため、歯周病の原因菌の口内の繁殖も効果的に防いでいます。

ブッチで使用されている原料は、食料自給率300%を誇るニュージーランド農水省の認可を受けた生産者たちから毎日納品され、工場に納入された後、数時間以内には製品化されています。原料は、すべてニュージーランドにおいて最高クラスである「輸出グレード」のものが用いられ、それらすべては、牛や羊であれば、どの地域で肥育され、最終的に納入、加工、製品化されるまでのすべてのトレーサビリティが保証されています。犬と猫兼用のユニークなフードであるブルー・レーベルと猫専用のジンジャー・トム/ブルーに含まれている青魚もしかり。どの船が同国近海のどの海域で漁をし、どこの港で陸揚げされたかまでトレースできる態勢にあります。
イアンとロレインのお孫さん(キャメロン)と愛犬のハックルベリー

イアンとロレインのお孫さん(キャメロン)と愛犬のハックルベリー



また、ブッチ社は、ペットではない動物園の野性動物の健康維持にも貢献しています。ブッチ社は、中東のドゥバイにある大型ネコ科動物のリハビリ、飼育・繁殖センターの要望に応え、動物栄養学の権威たちと共に、同種の肉食動物専用のミートフードであるCarnivore(カーニヴォア/肉食獣の意)を開発し、供給しています。これは中東という、種類の異なる食肉類の供給が安定的でない事情によるもので、現在では、食肉事情の不安定な地域の動物園にも販売されています。


動物園の大型ネコ科動物専用のフードとして開発され、各地で採用されている“プロ用”のCarnivore/肉食獣。パッケージのデザインにも迫力があります。

ブッチ社の製品は、ニュージーランド国内では、ペットショップや農業関連のサプライショップ、そしてすべてのスーパーマーケットの冷蔵品コーナーで広く販売されています。そしてアジアでは日本をはじめ、台湾、香港、中国、インドのほか、各国の家禽業者の保護のため輸入できないE.U.およびロシアをのぞく各国に輸出され、米国ではブッチ社から技術指導を受けたカントリーペット社によって(米国独自のブランド名で)製造され、販売されています。